[ 2012年6月句会選句集 ] | |
梅雨寒し路地走りゆく下駄の音 | 國司喬伸 |
父の日や孫抱き朝の散歩道 | 國司喬伸 |
家康を隠せし窟や木下闇 | 古谷昭雄 |
梅雨空を晴らす歌声女高生 | 古谷昭雄 |
麦秋やはるかに古き家並見ゆ | 久保田耕平 |
懐かしやすがた武骨な自家トマト | 久保田耕平 |
長靴の嬉しい孫は梅雨をはね | 穴原明司 |
我が城を守るすだれの陣薄し | 穴原明司 |
雨の中色際立てり花菖蒲 | 原 且則 |
只今と冷えたトマトの丸囓り | 原 且則 |
[ 2012年7月句会選句集 ] | |
恋蛍躊躇ひありてまた灯す | 久保田耕平 |
夏草の夢をもぎ取り土祭 | 久保田耕平 |
きうり漬け朝餉の菜にきざむ音 | 國司喬伸 |
川べりを子等と追ひかく蛍の夜 | 國司喬伸 |
小糠雨蓮の葉さっと翻り | 原 且則 |
石庭を唯てふてふの過ぎ去りし | 原 且則 |
生田宮蛍が飛ぶと老妻の言ふ | 古谷昭雄 |
夏休みクウニャン混る写経会 | 古谷昭雄 |
親しげにホタル一匹肩に来る | 穴原明司 |
夕立に追い立てられる露天風呂 | 穴原明司 |
[ 2012年8月句会選句集 ] | |
グランドに人影もなく蝉時雨 | 久保田耕平 |
片蔭を擦れ違ひたる京の街 | 久保田耕平 |
頬撫づる飛沫の風や滝の音 | 原 且則 |
街の灯も消して輝く大文字 | 原 且則 |
手相見は夜店のはずれひっそりと | 穴原明司 |
まずビール砂漠に慈雨の降り注ぐ | 穴原明司 |
夏草をファミリーで食む岬馬 | 古谷昭雄 |
赤とんぼ若者偲ぶ鹿の屋基地 | 古谷昭雄 |
谷風に谺相うつ滝の音 | 國司喬伸 |
長崎忌文化遺産となる校舎 | 國司喬伸 |
[ 2012年9月句会選句集 ] |
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朝日浴ぶ葉のそれぞれに露の玉 | 久保田耕平 |
ペタル踏む並木の坂や空澄みぬ | 久保田耕平 |
六甲の連山碧し秋の朝 | 原 且則 |
店先で光の多き秋刀魚買ひ | 原 且則 |
稲穂垂るみちのくの旅みな傘寿 | 古谷昭雄 |
秋刀魚焼く匂ひ懐かし疎開先 | 古谷昭雄 |
長き夜や雨音奏づ子守唄 | 國司喬伸 |
梨むくや里なつかしき母の顔 | 國司喬伸 |
朝露にしっとり濡れてタマ帰還 | 穴原明司 |
消える術忍者はだしのメダカの子 | 穴原明司 |
[ 2012年10月句会選句集 ] |
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せんべいを買ふまでじっと待つ子鹿 | 穴原明司 |
窓の灯をやっと見つけた秋の暮 | 穴原明司 |
唐橋を人行き交ひぬ秋の暮 | 久保田耕平 |
木漏れ日の疎水に速し落葉かな | 久保田耕平 |
秋の暮瀬戸の小島も赤く燃ゆ | 原 且則 |
天高く大波寄せる桂浜 | 原 且則 |
突堤に立ちて歌詠む秋の暮 | 國司喬伸 |
寄り添ひてせんべいねだる鹿二頭 | 國司喬伸 |
銀杏の実売りて暮れゆく古刹かな | 古谷昭雄 |
昼下りほんのり紅く酔芙蓉 | 古谷昭雄 |
[ 2012年11月句会選句集 ] |
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秋麗や往き帰り愛づ白き冨士 | 古谷昭雄 |
十三夜古塔照らすや鶴林寺 | 古谷昭雄 |
遊ぶ子等園去りゆけば虫時雨 | 國司喬伸 |
友なくしひとりぼっちの日向ぼこ | 國司喬伸 |
団栗を蹴る子投げる子集める子 | 原 且則 |
水澄むや砕けて白し滝の水 | 原 且則 |
団栗を拾ふ幼子母も見ず | 久保田耕平 |
落葉踏む港の園の小雨かな | 久保田耕平 |
どんぐりを乗せた笹舟追って行く | 穴原明司 |
妻を恋ふ孤独な虫の声途切れ | 穴原明司 |
[ 2012年12月句会選句集 ] |
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壁一面大根干さるる隠れ里 | 久保田耕平 |
寄す波のままに浮びし二羽の鴨 | 久保田耕平 |
大木に大根実る京の寺 | 穴原明司 |
雪の朝陽の矢宥むる紙障子 | 穴原明司 |
すっぽりと大根抜けし穴黒し | 宮脇隆夫 |
小づくろい褪せる実家の障子かな | 宮脇隆夫 |
母の声子の笑ひ声障子越し | 國司喬伸 |
海暮れていよよさみしき鴨の声 | 國司喬伸 |
無病息災大釜で大根焚き | 原 且則 |
落ち葉舞ふ子等の大声風に消ゆ | 原 且則 |
奈良まちや昔をしのぶ立障子 | 古谷昭雄 |
大根は辛みが決め手妻の云ふ | 古谷昭雄 |
(文責 古谷昭雄) | |
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